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アキラのMHX日記

モンスターハンタークロスのプレイ日記です。ネットで知り合った狩り友達も多数出演中。どんな人でも、ゆっくりしていってね。

狩猟物語〜剥ぎ取り名人〜

※この物語はモンスターハンターの二次創作です。

ケンシロウに708ある秘孔のうち、708個の秘孔を全て突かれたザコ敵が吹き飛ぶ確率と同じくらいの確率で、独自解釈、独自設定が含まれます。

もちろん、原作に存在する設定もありますが、筆者の脳内で作られた、実際には無い設定もあります。

あくまで1つの娯楽として楽しんでくださる、寛大な心を持ったお方のみ、ご覧いただく事をオススメ致します。

それが無理な方は軽功法なりなんなりで回避してください。


思ったより長いです。
(総文字数、約5000文字)


妄想力、大爆発!!!


@@@狩猟物語〜剥ぎ取り名人〜@@@





剥ぎ取り名人の朝は早い。
粗末なベッドの側にある石造りの四角い窓から、朝日の清らかな光が差し込むと同時に、彼はまどろみの世界から瞬時に帰ってくる。気持ちばかりの掛け布団を跳ね除けると、彼は『うーん!』という声とともに両手を上に上げて伸びをし、それから大きなアクビを1つかますと、ベッドから降りて両足を地に付けた。

そして家の奥にあるキッチンへ、そのままの体(てい)で赴く。キッチンでは5匹のアイルー達が各々、掃除をしたり食材のチェックをしたりしていた。彼は働き者のアイルー達に『やあ、おはよう。』と挨拶をすると、中央にあるテーブルへと着席した。

『おはようニャ、旦那!  今日は何を食べていくかニャ?  今日も、たくさんの新鮮な食材を取り揃えたニャ! 早く注文するニャ!』

彼は一言うーんと考えた後に、ここのキッチンのアイルー達が最も得意とする酒とチーズを使った料理を注文した。すぐに大皿に、『これでもか』と、てんこ盛りにされた豪華な料理が運ばれてくる。彼はそれらを豪快に全て平らげた。

身体中に力が湧いてくる。これならどんなモンスターの攻撃も耐えられるし、どれだけ走っても息切れはしなさそうだ。そればかりか、なんだか上手くモンスターを解体できるような気がする。彼は飯代を払うとキッチンを後にした。

彼はベッドのある部屋の隅に備え付けられている大きな箱の前に立った。その中からおもむろに、紅い服を取り出した。ギルドナイト装備と呼ばれる特注品だ。これを身に付けると何故かは分からないが、モンスターの解体が上手くなり、剥ぎ取れる回数が増えるのだ。それに更に、高速採取の装飾品を埋め込み、剥ぎ取りの高速化を図る。

そう、彼はハンターである。
それと同時に、剥ぎ取り名人異名を持つ異色のハンターなのだ。その正体はと言うと、ギルドナイト装備を着たハンターを装ったギルドナイトなのだ。彼がハンターを装う理由はとある極秘任務を遂行するためにある。

ギルドは報酬として追加素材をハンター達に提供しなければならない。その代わりハンターとハンターズギルドの取り決めで、大半のモンスターからの剥ぎ取りを3回としている。その理由は、屍となったモンスターの肉や甲殻などを食べたり、住処にするモンスターや微生物は多く、その保護保全の為である。そして死したモンスターは死と同時に微生物達による分解が始まり、小型モンスターなどは1分もしない内に土に還ることが多いのだ。

よって、ハンターズギルドは、ハンターがモンスターを捕獲して持ち帰らない限りは、大量の素材の入手が不可能になっている。だが捕獲するハンターなど少なく、大概は討伐となる。そこでギルドは画期的な素材入手法を編み出した。それが、ハンター達と共に狩りへ赴き、素材を剥ぎ取りによって集めてくる、ギルドナイトハンターギルドナイトなのだ。

彼はギルドから支給されたギルドナイトレイピアという斬れ味鋭い双剣を装備し、勇躍、ハンター達の集う集会所へと足を踏み入れた。


集会所は朝も早いというのに活気に満ちていた。今からクエストへ向かおうという一団がいれば、今まさに帰還した一団もいる。クエストカウンターとクエストボードは今、ハンターたちでごった返していた。

『よう!  君も朝早いね。これから狩りかな? もし良かったら、俺たちと一緒に来ないか?  リオレウスの逆鱗を狙いに!!!』

若い、爽やかなハンターが声をかけてきた。彼はガレオスシリーズの防具に身を包み、同じくガレオスのライトボウガン、デザートストームを背負っていた。その後ろには、これまた若いハンターが、バトルシリーズに身を包み、ランス、ランパートを担いで、こちらを見ている。そろそろ狩りに馴れてきて、新人卒業、と言った具合のハンター2人である。

彼の任務は出来高であり、レアな素材を納品すればするほど、特別手当が出る。よって、利害は一致した。彼は『ご一緒させてもらいます。』とにこやかに返し、2人の若いハンターと共にクエストカウンターへ行って、リオレウスの討伐依頼クエストを受注した。出発までは各々、準備を進める。彼は特に何もすることは無かったが、ガレオス装備の若者は、念入りにボウガンの弾を確認していた。


3人は揃って、森と丘へ向かって出発した。キャンプに着くと3人は支給品ボックスを確認した。応急薬や閃光玉など、有益な道具が入っている。それらを分け合い、地図を広げて作戦会議だ。今回の目的は、レア素材、火竜の逆鱗の入手が大きい。逆鱗は尻尾から運が良ければ剥ぎ取れる素材であるから、自然と、どのようにすれば尻尾がスムーズに切れるか、ということに議題が行く。

結果、ランスのハンターがリオレウスの陽動。双剣の彼が、ランスのハンターがリオレウスを引きつけているうちに後ろに回って尻尾切断。ライトボウガンのハンターが麻痺弾を撃って動きを止めてチャンスを作る、という1番基本的な作戦に落ち着いた。さぁ、出発だ。

リオレウスはこの昼の時間、アプトノスを捕食するために森林地帯よりも丘のエリアに姿を現わす可能性が高い。3人は丘のエリアを真っ直ぐに駆けて行った。

しばらく進むと、遠くから血と、それに混じって焦げ臭い匂いが漂ってきた。この先にリオレウスがいる。3人は突き出した岩の陰に身を潜めた。普通のハンターよりも目の良いガンナーである若いハンターが、物陰から先の様子を伺う。すると、すぐ50メートルほど先に、巨大な翼をはためかせる空の王者、リオレウスが仕留めたアプトノスの肉を貪っているのが見えた。


『いたぞ。リオレウスだ!』

ガレオス装備のハンターは小声で囁いた。それを聞くなり、ランパートを背負ったハンターは無言で頷いて、双眸をギラリと光らせると巨大なその鉄槍と大盾を構え、ズシリズシリと恐れることなくリオレウスに近づいて行った。

リオレウスは彼を認めるや否や、一声大きく吠えると、彼に目掛けて巨大な爆炎の塊を吐きつけた。それを大盾で見事に防ぐランスのハンター。その陰から、剥ぎ取り名人は閃光玉を放った。パーンとリオレウスの目の前で爆ぜる閃光玉。その強烈な光に視界を奪われ、パニックに陥るリオレウス剥ぎ取り名人は流れるような動きでリオレウスの股下を潜り抜け、尻尾の真下に陣取った。

見ればランスハンターの後ろから、ライトボウガンハンターが麻痺弾を射っている。剥ぎ取り名人は時折降りてくる尻尾を的確に斬って、少しずつ切断に漕ぎ付ける。と、次の瞬間リオレウスの体についに麻痺毒が回り、リオレウスその場に釘付けとなった。

剥ぎ取り名人はジャキンッとその場で双剣をクロスさせた。これが、双剣使いの究極奥義、鬼人化である。鬼も修羅もかくやという強さを宿した彼はリオレウスの尻尾をやたらめったら滅多斬りにした。すると、リオレウスの太い尻尾がポーンと宙を舞う。尻尾の切断に成功したのだ。剥ぎ取り名人の目が変わった。



『私の任務はレアな素材をギルドに納品すること。即ち、あの若造どもにレアな素材を渡すワケには行かぬ。なかなか出ないレアな素材がカンフル剤となり、ハンター達の狩りのモチベーションを嫌が応にもブチ上げさせ、数々の困難な依頼をスムーズに捌くのだ。つまり私があの若造たちよりも先にここで尻尾から逆鱗を取ってしまうということは、私のギルドからの評価が上がり、更に特別手当がもらえるだけではなく、ギルドの、行く末は困難な依頼を抱える人々の為にもなるのだ。この行為はつまり、悪と善で言うならば善!  大きな救済のための小さな犠牲なのだ! 許せ!  若きハンターたちよ!!!!!』


と、一瞬の間に葛藤を済ませる剥ぎ取り名人。まだリオレウスは尻尾を斬られた反動から立ち直れてはいない。当の若いハンター達は、今ようやくリオレウスの尻尾が斬れた事を認識したようだ。

『お見事です!』

と、ライトボウガンのハンターが叫ぶが早いか、剥ぎ取り名人は尻尾に取り付き、人の業を越えた速度で逆鱗を抜き取ってしまった。そして素知らぬ顔で、ようやく態勢を立て直したリオレウスに斬り込んで行く。目にも止まらぬスピードだ。彼がリオレウスと渡り合っているときに、若いハンター2人は尻尾に取り付き、剥ぎ取りをしていた。彼はそれを横目で見ながら、『すまぬ…。すまぬが、私の勝ちだ…。』と、詫びながら任務の達成を噛み締めていた。


リオレウスは剥ぎ取りを済ませた2人の若いハンターも加わった3人に追い回され、ほうほうの体で巣へと逃げていった。と、ここでランスのハンターが行った。


『おれ、捕獲用麻酔玉持ってきたよ。捕獲した方がギルドからの報酬がいいから捕獲しよう。』


ライトボウガンのハンターは賛同している。ここは同意する他あるまい。内心、舌打ちしながら彼は頷いた。巣へ突入するとリオレウスは傷を癒すために休眠していた。ランスのハンターは巣のど真ん中に落とし穴を設置。みんなリオレウスと自分達の中間地点に落とし穴が来るように位置取りをする。そして、ライトボウガンのハンターが遠距離射撃で眠っているリオレウスを挑発した。

目覚めたリオレウスは怒り狂い、そのままこちらに突進してくる。と、その中途に落とし穴があるのでまんまとハマるリオレウス。落とし穴にリオレウスがハマったのを認めると、ランスのハンターは捕獲用麻酔玉を2つぶつけた。これでリオレウスは意識を無くし、捕獲は成功。ライトボウガンのハンターが外に出て、ギルドにクエスト成功を報せる狼煙を上げた。

すぐにギルドの職員達がやってきて、眠っているリオレウスを丈夫な縄で縛り上げ、アプトノスの引く台車に上手く乗せると、どこかへ持って行ってしまった。3人もそれぞれ挨拶を交わし、集会所へと戻った。


報酬はそれぞれ個別に渡される。
これは伝統というか、因習というか、とにかく昔からそのようになっている。彼らギルドナイトハンターギルドナイトも、普通のハンター達と同じように報酬金と幾ばくかの素材を貰う。それで新たな装備を作るもよし、それらを納品するもよしなのだ。もっぱら彼は、モンスターからの剥ぎ取りが上手くなるギルドナイト装備をずっと着ているが…。

ギルドの闇、ギルドナイト。
中には規約に違反するハンターの暗殺を命じられる部署もある。多くのハンター達にその全容は知られていない。そう、ここにもそのギルドの闇である、ギルドナイトが1人…。

彼の名は剥ぎ取り名人。

ハンター達に対する報酬素材を確保し、なおかつレアな素材を渡すことなく、ハンター達を狩りに駆り立てる扇情者。

こんな経験は無いだろうか?  やたらとメンバーの中で1人だけレア素材を引きまくって見せつけてくるハンターがいて、何回行っても、そいつにだけ逆鱗やら紅玉やらが出る、ということ。そして更には素材報酬でまでキッチリレアな素材をゲットしていたり。

そういうハンターは後々、ギルドにレアな素材を納品していることだろう。いわば、サクラなのである。そして、素材が飽和状態になると、ギルドナイトの別の闇が動き出す。その闇は物々交換で様々な素材をハンター達から回収することを命じられたギルドナイト…。

山菜じいさんだ。

ギルドマスターやマネージャーから時折渡される山菜組引換券。あれでレア素材を奪われ続けたハンター達にコッソリと、本来ならそのハンターが手に入れるべきだったレア素材を還元しているのである。しかし当のハンター達は夢にもそうとは思わず、『ギルドマネージャーありがとう! 山菜じいさんありがとう!』と喝采しているのだ。


今日も剥ぎ取り名人は、誰よりも早く、レアな素材を抜き取ってはギルドに納品し、暗躍しているのだ。そう、あなたのそばにもきっと…。
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